広東人の LAWSON フィーバー拡大中

武漢から広東省へ出張中の日本人に朗報。ご周知のことと思うが、あの LAWSON が広東各地で続々と新店舗を展開している。武漢でコンビニと言えば、LAWSON (中百罗森) と Today (今天) だろう。近年はセブン-イレブンの躍進も目覚ましいが、すでにして LAWSON に飼い慣らされた武漢系日本人は、こと広東において深刻な LAWSON ロスに苛まされてきた。そんな中、武漢でお馴染みの「中百」LAWSON でこそないが、とにかく LAWSON が猛烈な勢いで店舗数を拡大しているのはありがたい。

 

写真はつい最近、広州市内の越秀公園前に開店したもの。佛山市内でも、すでに 2 店舗がオープンしたと聞く。

 

そして国境の街、珠海でも LAWSON プロジェクトが始動している。富華里や新都心をふくめ複数店舗の開業が予定されているようだ。今回、取材に訪れたのは、前山地区で最も集客力のあるショッピングモール、珠海環宇城の一階。環宇城の 6 号門と言っても分かりにくいが、ショッピングモールとルネッサンス・ホテル (珠海中海万麗酒店) を繋ぐ、前山河に面した大がかりな車寄せの脇で、内装工事を行っていた。

 

第二の故郷、武漢を遠く離れて、どうしても珠海に宿泊しなければならない場合。ルネッサンス珠海を選べば、徒歩圏内にいつもの青いコンビニが有るので、ちょっとだけ安心だ。

聖地巡礼: 少林サッカー

「男たちの挽歌 (英雄本色)」なら銅鑼湾のチョウ・ユンファ車清掃ビル、「インファナル・アフェア (無間道)」なら上環のアンソニー・ウォン墜落ビル、「ファイト・バック・トゥー・スクール 2 (逃學威龍 2)」なら寳馬山の漢基國際学校など、香港には、香港映画を生き甲斐とする日本人のテンションがおかしくなる、映画ロケ地が数多く存在する。それは、広大とは言えない香港であれだけの数の映画を生み出したのだから、ファンが巡礼すべき聖地が至るところにあって当たり前とも言えるが。。。翻って、80 年代以降の香港映画黄金期には、広州や深圳などの中国本土はあくまで映画の味付けとしてしか登場せず、本格的な本土ロケと言えば、香港で撮影しにくい時代劇や戦争シーンなどがメインだった。

 

1999 年、世界の映画界を震撼させた一本の映画が、珠海で撮影される。2001 年公開の「少林サッカー (少林足球)」だ。すでに「食神」や「喜劇之王」で、香港では飛ぶ鳥を落とす勢いだったチャウ・シンチーの実質的世界デビュー作。今作は、当時の香港映画興行収入記録をかるく塗り替え、じつに世界 32 か国で上映された。

 

この記念碑的映画の多くの部分が珠海で撮影されたことは意外に知られていない。今回、訪れたのはヒロイン (ヴィッキー・チャオ) の勤務する饅頭屋の店先。ここでヒロインが披露する太極拳がのちのストーリー展開にも大きな役割を果たす。また、有名なダンスのシーンの背景に映り込む、香山公園の南門もこの店の向かいにある。率直に言ってしまえば珠海市内のどこにでもありそうな路地だが、ロケハンでここを見つけ出したスタッフの慧眼により、映画史に残る名場面が生まれた。広州在住の香港映画ファン、シンチー・ファンには、一度は訪れていただきたい珠海の名所だ。

 

他にも、決勝戦の宿舎は珠海度假村酒店、決勝戦は珠海市体育中心のスタジアム、どちらも珠海市内で撮影されている。

橋の解体工事 (珠海)

 

珠海の大動脈、九洲大道と珠海大道を繋ぐ前山大橋の側道の橋が解体されている。これだけでは一体どこの話だ?と広州在住の日本人の皆さまからご叱責を賜りそうだが、珠海の都心部から珠海空港へ行くときに、必ず通る幹線道路が珠海大道だと言えば分かりやすいかもしれない。前山大橋は、都心側の九洲大道に入る交差点ではげしく渋滞するので、側道的な役割を果たす「簡易橋」を経由すると渋滞を回避でき、何かと使い勝手がよかった。簡単な橋脚の上に鉄板を載せた程度のシンプルな作りだが、水面との距離も近く、ちょっとだけ生活に潤いを与えてくれる存在だった。

 

とくに前山河には、随所にこのような橋がかかっていて、市民生活の一部となっている。橋の上で、日がな一日、魚釣りと言うか、かなり本格的な漁をしているおっさんは、まぎれもなく珠海の風物詩だ。とは言うものの、前山河で採れた魚はあまり食用には適さないとも聞いた。それでも時間のあり余ってそうなおっさんたちの、社交場としての役割は果たしているのだろう。言葉は聞き取れないが、釣れた魚を前に侃侃諤諤の大騒ぎをしているのを見ていると、こちらまでなんとなく楽しくなる。

 

鉄板剥き出しのツルツルの歩道の上を、出前のバイクが猛スピードで駆け抜けたりするので、この橋の上では事故が絶えなかったと聞く。解体の理由は、市民団体からのクレームなのか、単にその役目を全うしただけなのか、寡聞にして存じ上げないが、コンクリートジャングルの陽気な漁師たちに会えなくなるかと思うと、ちょっと残念だ。このようにして、珠海も少しずつ「都市化」されていくのだろうか。。。

 

なお、広州 – 珠海間の移動については、当ウェブサイト内の「珠海から広州へバスで」も参照していただきたい。 https://www.guangzhou.jp/buskwc.html

珠海通で熱きデュエルを

 

東京のSuica、名古屋の manaca、香港の Octopus、バンコクの Rabbit Card、そしてもちろん広州の羊城通と武漢の武漢通。在中日本人の交通系 IC カードコレクターなら、これくらいは軽くコレクションされていることだろう。しかし、これだけでは画竜点睛を欠くと言うもの。今回は、交通系カード界のブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン (青眼の白龍; 攻: 3000, 守: 2500) 、幻の「珠海通」をご紹介する。

 

珠海通は、公式ホームページによると珠海各所で買えるらしいが、どうも場所によって買えたり買えなかったり。このあたりいかにも南国の珠海らしい。そもそも珠海に到着したらすぐに入手したい代物なので、鉄道で珠海を訪れた方は、珠海駅前のバスターミナル隣にある自動販売機で購入するのが最も簡便だろう。珠海通公交卡自助服務点は、一見、バスの運転手さんの休憩所みたいで、邪魔したら怒られそうな雰囲気だが、勇気を出して入ってみよう。中にはカードの自動販売機が 2 台、寂しく設置してある。あとは「自助购卡」のボタンから、珠海通を購入するだけだ。ただ、この自動販売機、故障中のこともしばしばで、ことさら珠海通の SSR っぷりに拍車をかけている。

 

艱難辛苦の末、美麗なデザインの珠海通を入手できた暁には、あなたも交通系カード界隈の立派なデュエリストだ!滅びのバーストストリームで、Suica や Octopus などの都会系洒落乙カードを一蹴することができる。

 

なお、広州 – 珠海間の移動については、当ウェブサイト内の「珠海から広州へバスで」も参照していただきたい。 https://www.guangzhou.jp/buskwc.html

ゴンチカの茶餐廳 (珠海)

拱北口岸地下商場 (通称: ゴンチカ) 。かつて珠海へのアクセスが、マカオからの陸路と、香港、深圳からの海路にほぼ限定されていた頃、ゴンチカは経済特区珠海の繁栄を象徴する場所だった。マカオから拱北ボーダーを越えて、珠海に入るといきなり姿を現す広大な地下ショッピングモール。半円状に四方八方へと広がる通路は、ちょっとしたダンジョンの様相を呈していた。衣類やカバン類はもちろんのこと、携帯電話などの電子機器 (スマートフォンなんてこの世に存在していない時代) から大人の事情でやたらと安いブランド物まで、当時のゴンチカで手に入らないものなど無かった。

 

それほどの栄華を誇ったゴンチカも、珠海 – マカオ間のボーダー増設や新都心の開発、経済構造の変化に伴い、現在は縮小傾向にある。以前は地下 2 階まで個人商店やスーパーがずらりと並んでいたが、今は地下 1 階のみ。地下 2 階は急造の駐車場になってしまった。

 

そんなゴンチカで長く営業を続けた、マカオ式茶餐廳がひっそりと閉店していたので、記憶に留めるため、記事にしておく。このショッピングモールで、マカオ側を背にして右側は、以前から飲食店が集中する場所だった。その中でも最大の規模と人気だったのが、新寳餐廳だ。メニューの基本はマカオ式の茶餐廳で、おなじみのミルクティーやレモンティーの他、マカオ式の猪扒包 (ポークチョップサンド) などを提供しているのが香港や広州と違う。こうした定番メニューに加え、麺類などの中国料理も普通以上に美味しかった。ゴンチカにしてはかなり広めの店内はいつも満席で、注文を取ってもらうのも一苦労。国境地帯特有のエネルギーと喧騒に溢れた雰囲気で、客たちは広東語や中国語でいつも大声で捲し立てている。日本人にもファンは多かったようだが、近年の時流には逆らえなかったのか、気がついたらその歴史に幕を下ろしていた。

老兵は死なず、ただ消え去るのみ。

マカオ空港のすゝめ

広州の魅力の一つに、アジア有数のハブ空港である香港国際空港に比較的容易にアクセスできる点があげられる。香港珠海マカオ直通バスが、香港空港近くのバスターミナルに発着することから、時間帯や便数の心配をすることなく、香港空港 – 珠海間を往来できるようになったのも大きい。一方、忘れられがちなのが、やや影の薄いマカオ国際空港。現在、日本行きフライトは、マカオ航空による成田行きが週 4 便、関空行きが週 5 便とまだまだ限定されてはいるが、東南アジア方面へのフライトは充実しており、場合によっては広州空港より便利なケースも。

 

広州から珠海経由でのマカオ空港へのアクセスは、至って簡単。おなじみの珠海の拱北口岸からマカオに入境したら、目の前のバスターミナルからマカオ空港行きのバス (AP1, AP1X) に乗るだけで、必要なのは運賃の 6 パタカ (MOP) とパスポートのみだ。6 パタカなんて、暴利を貪りすぎだろ!と言う社会派のあなたには、「国境→カジノホテル行き無料バス→空港行き無料バス」と言う裏技があることもお伝えしておく。屋内に運河が走るメガリゾート、ザ・べネチアン・マカオ (The Venetian Macao) や、あのエッフェル塔を擁するパリジャン・マカオ (The Parisian Macao) などでの、無料送迎バス乗り継ぎがオススメだ。

 

マカオ国際空港は、タイパ島東側の海を埋め立て作られた比較的小ぶりな空港だ。こちらを利用するメリットは、なんと言ってもチェックインから搭乗までの移動距離が短く、体力的に楽なこと。中国国内の空港は、近年肥大化の傾向にあり、空港内の移動だけで疲労困憊することも多い。かつて武漢空港の国際線ターミナルは、田舎の公民館くらいの大きさと渋さでなにかと便利だったが、新ターミナル開港以降は空港内でダッシュする機会がずいぶんと増えた。

 

フライトまで時間の余裕があれば、マカオ観光も楽しめて、一石二鳥のマカオ空港。一度、ご利用してみてはどうだろうか?

 

なお、当ウェブサイトでは、広州、香港、マカオを含む、日中間のフライトを「日中フライト時刻表」にて随時更新している。最新の情報を掲載しているので、ぜひ、ご参照いただきたい。   https://www.guangzhou.jp/flight.html

珠海に初出店?

コンチネンタルな紳士淑女の社交場。日本が世界に誇るリストランテの珠海一号店が、絶賛開店準備中だ。なにかと庶民的でリラックスした飲食店が多いのが珠海の魅力だが、ほぼ車道の上 (しかも幹線道路) に座らされたり、振り向けばそこはゴミ集積場だったり、楽しかるべき食事の環境として、理解に苦しむケースもなかなかに多い。ついでに衛生的にもちょっと心配だ。

 

そんなノーブルでスノッブなあなたに朗報。なんとあのサイゼリヤが、満を持して珠海に進出すると言う。場所は、珠海の正面玄関、拱北口岸と鉄道珠海駅を繋ぐ、来魅力・口岸城 (Charming Port City) の 2 階。ショッピング・モール中央のエスカレーターを上がると、莫大な資本を投下した内装現場を確認することができる (2023 年 7 月現在)。開業の暁には、珠海の新名所となること必定だ。

 

なお、珠海初出店と言う部分については、ネット上での仄聞に過ぎないゆえ、もし既に珠海市内で同店の存在を確認しておられる方がいらっしゃれば、何卒、ご一報いただきたい。

また、広州 – 珠海間の移動については、当ウェブサイト内の「珠海から広州へバスで」も参照していただきたい。 https://www.guangzhou.jp/buskwc.html

前山港 (珠海) の香港式茶餐廳

 

珠海市香洲区の前山地域と南屏地域を隔てる前山河。かつては珠海と内陸部を繋ぐ水運の一翼を担っており、数十年前には河口付近の前山港から桂林まで、船旅を楽しむこともできたと言う。そんな交通の要衝だった前山港も、南屏地域の急速な開発、河岸の整備事業に伴いその役割を終え、今はその小ぶりな建物に昔日の面影を残すのみである。今回は、そんな前山港に居を構えるユニークな茶餐廳をご紹介する。

 

漁記茶餐廳 (前山支店) は、珠海人の手による本格的香港式茶餐廳。本店の開業は 2017 年と比較的最近だが、この前山支店も週末は長蛇の列が店外にまで並ぶ人気店だ。ここが珠海の一般的な茶餐廳と一線を画すのは、徹底した香港の茶餐廳の再現にある。香港人のソウルフード、菠蘿包 (パイナップルパン) と奶茶 (ミルクティー) の開発に文字通り心血を注ぎ、メニュー、内装ともに香港の茶餐廳をほぼ完璧に再現している。いかにも香港の店舗にありそうな小物が随所に配置され、壁のタイルの貼り方にも本場再現の強い意気込みとこだわりが感じられる。

 

当然ながら、どの料理も味は折り紙つき。写真は、香港映画の最高傑作「男たちの挽歌 (英雄本色)」冒頭、チョウ・ユンファが皇后像広場で食べていた混酱豬腸粉。こんなシンプルな一皿もしっかり美味しい。

なお、広州 – 珠海間の移動については、当ウェブサイト内の「珠海から広州へバスで」も参照していただきたい。 https://www.guangzhou.jp/buskwc.html

【渔记茶餐厅 (前山店)】
珠海市香洲区港昌路港口一巷201号主体第3、4、5、6间 (前山河边)
営業日時: 月〜日 11:00 – 20:00
拱北、唐家湾などにも店舗有り

ピザの神様 (メニュー編)

やはり日本人は信心深いと言うか、我々の生活そのものがアニミズム的信仰と深く結びついているのだろう。大変ありがたいことに、ピザの神様について在中の同胞より、数多のアクティブな反響をいただいた。饅頭 (マントウ) 文化が席巻する大陸で、小麦粉本来の味わいに飢えておられる皆さんのため、今回は「披萨之神 (Dreams of Pizza)」のメニューを紹介させていただく。

 

広州や深圳の近未来的高層ビル街と比較して、ローコスト、ローストレスな珠海の生活に慣れてしまうと、この価格帯は正直高いとも安いとも言えないレベル感だ。とは言え、神様へのお布施の多寡について、とやかく論ずるのは野暮と言うもの。神様のオススメを迷わずオーダーしてこそ、ご利益にあやかれる。豊富なラインナップ中に、中華料理との強引なフュージョンが散見されるのはご愛嬌だ。

 

これを機に広州からの邦人参拝客が急増すれば、当店が普陀寺、金台寺や珠海漁女 (?) など、珠海の古寺名刹に並び称される日も近い。

 

なお、広州 – 珠海間の移動については、当ウェブサイト内の「珠海から広州へバスで」も参照していただきたい。 https://www.guangzhou.jp/buskwc.html

【披萨之神 (柠溪店)】
珠海市香洲区柠溪路284号 (柠溪文化广场首层)
営業日時: 月〜日 11:00 – 20:30

ピザの神様 (立志編)

古より、日本人の信仰と言えば八百万の神と相場が決まっていて、田畑から米粒まであらゆるモノに神様が宿ると先人たちは考えてきた。あろうことか、かの珠海には八百万の神々もびっくりのピザの神様が鎮座ましますという。これは無類のピザ好きとして、一度参拝しておかねばと言うわけで、なにかと因縁の「檸溪文化広場」に向かった。

20 年前は珠海で最高にクールでイケてるスポットだった檸溪文化広場は、今でも妙齢のご婦人がたの広場舞の聖地として、なかなかの盛況だ。今日は、そんな彼女たちを横目に、半円形の建物の一階にある「披萨之神 (Dreams of Pizza)」を目指す。お世辞にもご利益がありそうな内装では無いが、窓際の席に陣取ってレモンティーの一杯も注文すれば、気分は老香洲の本地人。

 

メニューは、円形のピザ、四角いピザ、深皿で焼くシカゴピザの 3 種に大別される。どれもチーズを全くケチらないあたり、さすが神様の貫禄だ。特にシカゴピザはカロリーに要注意だが、珠海でも珍しいのでぜひトライを。サラダやサイドメニューも、量をケチらない方針を貫いているので、オーダーの際は冷静に。

 

なお、神様にあれこれ論評を加えるのは不敬にあたるゆえ、味についてのコメントは差し控えさせていただく。

また、広州 – 珠海間の移動については、当ウェブサイト内の「珠海から広州へバスで」も参照していただきたい。 https://www.guangzhou.jp/buskwc.html

【披萨之神 (柠溪店)】
珠海市香洲区柠溪路284号 (柠溪文化广场首层)
営業日時: 月〜日 11:00 – 20:30