珠海市内で台風対策進む

[ 9 月 2 日 08:00 更新]


現地時間 9 月 2 日午前 8 時現在、珠海市内での降雨はほとんど見られず、強い風が残っている状況。

[ 9 月 2 日 01:00 更新]

現地時間 9 月 2 日午前 1 時現在、珠海市内の風雨はさらに強まり、路上を走る車の姿も完全に消えた。

[ 9 月 1 日 23:30 更新]

現地時間 23 時現在、珠海市内では風雨ともにかなりの強まりを見せている。前方に見えるのは、珠海の大動脈、九洲大道。

[ 9 月 1 日 17:30 更新]

 

超大型台風 9 号の接近に伴い、珠海市内では台風対策が進んでいる。本日、9 月 1 日 13 時に発令された就学操業停止措置に伴い、市内最新のショッピング・モール、珠海環宇城もテナントが早々に店仕舞いし、内部は閑散としていた。閉店直前、モール内のスーパーには食料品を買いだめする市民が集まり、とくに広東人の食生活に欠かせない葉物野菜はいち早く売り切れたようだ。

 

ショッピング・モールとモールに併設するオフィスビルのゲート、とくに前山河に面したガラス扉は厳重に補強され、台風を迎える態勢が整えられていた。

 

珠海市民の期待を一身に背負って同モール内にオープンしたばかりの LAWSON は、開業 3 日目にして (一時的に) 強制クローズと言う、若干不運なスタートを切ることとなった。

 

珠事美好 LAWSON 来了

 

珠海人が待ちに待った LAWSON がオープンした。8 月 30 日付けで、珠海市内に 5 店舗同時開店したと言う。そのうちの一つ、珠海環宇城店に Guangzhou.jp 特派員が駆けつけたとき、オープニング・セレモニーはすでに終わっていたが、かなり盛大に祝われたようだ。コンビニエンス・ストアのオープンをこれほど大仰に祝うのは、日本ではとても考えられないが、珠海人の期待がそれだけ大きかった証左とも言える。

 

開業記念ということで、「福袋」の特売に精力を注いでいるのが珍しく、日本酒や日本のウイスキーのセールをしているのも、なんだかコンビニらしくない。現状、店内の半分は、福袋に占拠されているので、品揃えなども確認しようがないが、これから充実していくものと期待する。珠海の地元資本の便利店では、ちょっとした弁当やまともなホットスナックなどが入手できないので、もし自宅近くに LAWSON がオープンされたのなら、きっと重宝することだろう。今しばらくは、娯楽の少ない珠海人の群れに耐える必要がありそうだが。。。

ちなみに、店内は一見、普通の LAWSON なのだが、青と白の市松模様の天井がめちゃんこ眩しい。これはかなり斬新なデザインなのではないだろうか?

 

明華餅店の雞仔餅

広州には、雞仔餅 (がい ぢゃい べん) という不思議な焼き菓子がある。その名に反して、鶏肉は使われておらず、豚肉ビスケットなどと和訳されることも多い。なんでも、小鳳餅とかいうオリジナルの名前から、回り回って雞仔餅と言う通名が広州人の間で定着したようだ。小麦粉の生地に味付けした豚肉を練りこんで、焼き上げたものと思っていただければ、おおかた間違いはない。

この雞仔餅、老婆餅や広東式月餅のような一軍の広州土産と比較して、日本人の間では知名度も人気もいまいち。そもそもけっこう脂っこいので、日本人の味覚にピッタリ合うものでもない。今や観光客の巡礼地と化した蓮香樓で、いかにもお土産然とパッケージされたものを興味本位で買って、おおいに失望した方も多いのではないだろうか。

 

北京路から海珠広場までわざわざ歩きたがる日本人もそうそう居ないと思うが、その中途に「明華餅店」がある。1983 年開業の老字号だ。広東式の超柔らかいパンならぬ麺包を売っていて、これはこれで昔ながらの製法の絶滅危惧種。とは言え、ここの名物は焼き立ての雞仔餅だ。通りを歩いていると、脂の焦げる匂いが鼻腔をくすぐり、焼きあがった雞仔餅が次から次へと店内から搬出されてくる。おばちゃんの手作業による量り売りなので、これをゲットするためにはちょっとした語学力と厚かましさが必要だ。物欲しげに並んでいるだけでは、自分の順番は回ってこない。無事に入手できたら、とにかく温かいうちに一口。小綺麗に包装された養殖物とはダンチの、粗野な味わいと脂が口中に充満するので、これもまたひとつの広州の味と思って楽しんでほしい。

 

【明华饼店】
广州市越秀区起义路 78 号
営業日時: 月〜日 07:00 – 23:00

北京路の科技書店

広州に限らず、中国国内の書店のエンターテインメント化が進んでいる。店内でコーヒーや軽食を楽しめるだけでなく、ちょっとした出し物やレクチャー、器楽の演奏などを楽しめるようになっている。しかし昭和生まれの日本人にとって、テーマパーク的な本屋は居心地が悪い。望むらくは、書店たるものもっと硬派で、一見さんお断りくらいの心意気であって欲しい。

 

北京路の北側に、科技書店という古い門構えの書店がある。いつ頃に建てられた建物なのか定かではないが、いわゆる新華書店グループとしては 1949 年にこの地に開業したようだ。名前の通り科学技術系の書物を取り扱う書店で、そのシックな外見に負けず劣らず、店内にもかつての風情が随所に残されている。一階の右半分は文具コーナーで、中国製の万年筆インクの品揃えが、年々寂しくなっていくのを見ると心が痛む。左奥には昔懐かしい音像コーナーがあり、往年の香港ポップスや西洋古典音楽の CD や DVD が売られている。コンテンツの蒐集こそが趣味の王道だったころ、こんな店で裏技的に安価に CD を買い求めては悦に入っていた。

 

科技書店を訪れたからには、大時代的な階段を上って、2 階も覗いてみてほしい。なんだかカビ臭いような、懐かしいような本棚に、数多の医学書などが並べられている。こうした専門書の群れが醸しだす深閑とした空気は、洋の東西を問わず共通だ。スマートフォンではなく書物が、未知なる知への渇望を癒やしていた時代、書店や図書館にコーヒーの匂いなんて必要なかった。

 

【科技书店】
广州市越秀区北京路 336 号
営業日時: 月〜日 10:00 – 22:00

一徳路の乾物街

 

食の街、広州の味覚を裏から支えているのが、一徳路の乾物街だ。今でこそ地下鉄の 6 号線が開通し、一徳路駅で降りれば簡単にアクセスできるが、一昔前はたどり着くのも一苦労。海珠広場、長寿路、黄沙などの地下鉄駅に囲まれた空白地帯のど真ん中に有り、よほどの用事がなければ旅行者や駐在日本人が訪れる場所ではなかった。

この一徳路から文化公園にかけての一帯は、広州が急激に変化した 2000 年代に、ちょっと忘れられていたような感じの土地だったので、幸いなことに、騎楼などかなりオリジナルに近い形で残っている。ここに来れば、騎楼が広州人の生活場所の一部として必要不可欠なことが理解できるだろう。広州において「街坊 (がい ふぉん)」は、ただの街角なんかではなく、立派な生活コミュニティだ。

 

北京路や上下九のペンキで均一に厚化粧された騎楼は、お上りさんを喜ばすテーマパークのようなシロモノにすぎない。

 

広州随一、いや中国随一の乾物街だけあって、ここでは何でも売っている。と言いたいところだが、どうも食習慣の違いからか、カラスミの入手だけは相当に困難だと聞いた。

 

普洱茶で一抹の涼を

日本も広州も、酷暑が続いている。こんなときには広東人の魂、普洱茶 (プーアル茶) で涼をとってみるのはどうだろうか。大益茶といえば、普洱茶界のジオン公国と称される大企業で、大益のアンティークな普洱茶餅など、好事家の間でポケモンカード以上の値段で取引されている。数十年前の茶餅などはとても手を出せない値段だが、中産階級の日本人は大益の直営店で、世にも珍しい普洱茶のアイスクリームを楽しんでみよう。

 

場所は広州の下町随一のインスタ映えスポット、永慶坊。上下九というちょっと変わった名前の繁華街から、荔湾湖公園に至る一帯が、近年大規模に再開発された。永慶坊は、この再開発の目玉とも言うべき場所だ。これにより、昔ながらの古色蒼然とした静謐な「西關」の雰囲気は失われてしまったが、一定の経済効果は有るのだろう。休日など、以前と比較にならない人出の多さだ。ちなみに、ブルース・リーが幼少期に住んでいた家もここにある。

 

「大益茶庭」は、大益が総力を結集して作ったトレンディでオシャンティな普洱茶カフェだ。(たぶん) ここでしか食べられない普洱茶のアイスクリームは、蒸し暑い広州の街歩きに疲弊した身体を、ひんやりと癒してくれる。他にも、賞味期限が異常に短いフレッシュな普洱茶ソーダなどもあり、こちらも暑い日にはオススメ。近未来的な内装の店内では、普洱茶葉以外に、大益所有のプロ・バスケットボール・チームのグッズも販売されている。どうやらこのチーム、毎年のように中国国内リーグを制覇しているようで、まさにジオンの名に恥じない戦績だ。

 

【大益茶庭 (永庆坊店)】
广州市茘湾区恩宁路永庆大街21号
営業日時: 月〜日 11:00 – 21:00

広東人の LAWSON フィーバー拡大中

武漢から広東省へ出張中の日本人に朗報。ご周知のことと思うが、あの LAWSON が広東各地で続々と新店舗を展開している。武漢でコンビニと言えば、LAWSON (中百罗森) と Today (今天) だろう。近年はセブン-イレブンの躍進も目覚ましいが、すでにして LAWSON に飼い慣らされた武漢系日本人は、こと広東において深刻な LAWSON ロスに苛まされてきた。そんな中、武漢でお馴染みの「中百」LAWSON でこそないが、とにかく LAWSON が猛烈な勢いで店舗数を拡大しているのはありがたい。

 

写真はつい最近、広州市内の越秀公園前に開店したもの。佛山市内でも、すでに 2 店舗がオープンしたと聞く。

 

そして国境の街、珠海でも LAWSON プロジェクトが始動している。富華里や新都心をふくめ複数店舗の開業が予定されているようだ。今回、取材に訪れたのは、前山地区で最も集客力のあるショッピングモール、珠海環宇城の一階。環宇城の 6 号門と言っても分かりにくいが、ショッピングモールとルネッサンス・ホテル (珠海中海万麗酒店) を繋ぐ、前山河に面した大がかりな車寄せの脇で、内装工事を行っていた。

 

第二の故郷、武漢を遠く離れて、どうしても珠海に宿泊しなければならない場合。ルネッサンス珠海を選べば、徒歩圏内にいつもの青いコンビニが有るので、ちょっとだけ安心だ。

陽江で社会見学

 

陽江の刀剣工作室については、インパクトのある内容ゆえか、とくに在中歴の長い日本人の皆さんから大きな反響をいただいた。とはいえ、シリアスに刃物の町をご紹介するはずが、嬉々として世紀末と揶揄しているように受け取られかねない表現が一部にあり、猛省している次第。陽江市は、洗練された大都会です。この町のネガティブ・キャンペーンを張ったなどとあらぬ誤解を受けても困るので、あらためて陽江の主力商品の一つ、平和的かつ近代的なハサミ工場の様子をお届けする。

 

どこぞの武器屋と違い、こちらの工場は敷地も広く、なかなかの大規模設備と量産体制を誇っている。主な輸出先は欧米諸国だそうで、日本の百円ショップで買えるモノよりかなり高級だ。ちなみに、欧米人のセンスが 60 年代で止まっているのか、独自の営業戦略なのかは分からないが、なんだかサイケデリック (死語) なモデルが多い。

 

社長のご厚意により、刃に柄を取り付ける工程、2 枚の刃が組み合わさってハサミの形になる工程、出来上がった製品を包装する工程など、つぶさに見学させていただいた。それにしても、この工場には人が多い!ハサミにオートメーションも AI も関係ないのだろうが、人海戦術で、一心不乱にガシャンガシャンとハサミを作り続ける工員を見ていると、産業革命、囲い込みなどの単語が頭にチラつく。時は、まさに改革開放。刃物の町の名声を支えているのは、案外、昨日まで広東の海で漁をしていたおばちゃんたちなのかもしれない。

 

刃物の町

広東省陽江市。広州から車で飛ばして 3 時間、珠海から 2 時間。風光明媚な海沿いの街ゆえ海鮮料理で有名だが、中国随一の「刃物の町」でもある。じつに中国の刃物輸出の 8 割が、陽江からと言うから驚きだ。そんな物騒な称号に負けじとばかりに、陽江の路上は族気質強めのバイクで溢れ、2020 年代にしてなお北斗の拳の風情をたっぷりと味わうことができる。ラッシュ時の赤信号では、「カッとぼうぜっ!!」とばかりに大規模なゼロヨンが自然発生するので要注意。

 

今回、ご縁があって、そんな陽江でも珍しい刀剣工房にお邪魔した。武器商人なんて、某ロールプレイング・ゲームで装備を整えるときにしかお世話にならないと思っていたが、人生分からないものである。これも広東駐在の役得と言うべきか。工房は、期待を上回る荒涼とした土地に有り、周囲には管理者の定かでない家畜やら、野犬やらが闊歩している。過保護に育てられた日本人の感覚的には、工房と言うより、収容施設と言った趣きだ。

 

このところ、日本ではちょっとした日本刀ブームで資産家の投資対象にもなっているようだが、こちらの刀剣の価値は不明。なんだか使い道の分からない物騒な武具まで登場したが、どうせ持ち帰れないし、持ち帰りたくもない。それに、柔よく剛を制す、専守防衛、汚物は消毒が私の信条だ。

 

秘境でもないが、都会でもない陽江。垢抜けて脱色された、最近のシャバい広州が物足りないあなたなら、存分に楽しめるかもしれない。